健康ランニング:情報ボックス
あなたもマラソンが走れます

目次
p1 1.高齢者とフルマラソン p4 7.ペース走
2.女性とフルマラソン p5 8.10kmのタイムトライアル
3.子どもとフルマラソン p6 9.長時間走を中心としたプログラム
p2 4.フルマラソンを完走するための年間プログラム 10.マラソンを走るためのトレーニングプログラム
p3 5.LSD走 11.レースで留意すべきこと
6.クロスカントリー走 12.何故、ホノルルマラソンか

あなたもマラソンが走れます (1/6ページ)
金沢中央走ろう会 代表:天野 耕兵衛
1.高齢者とフルマラソン
 フルマラソンはだいたい誰でも走れます。問題は「走ろうと思うか、思わないか」です。
 市民マラソンランナーがこんなに増えたのは40〜60才の年齢層が走り始めたからです。
 マラソンにはいくつかのメリットがあります。
 短い距離だと脈拍が上がり過ぎます。5kmぐらいの距離だとスピードを上げるため150拍を越えます。最大酸素摂取量の80%を越えて、たいへん呼吸が辛くなり、心臓に負担をかけます。
 しかし、距離が長くなると脈拍数がこれより少なくなり走りやすくなります。しかも酸素がたくさん摂取できるわけですから、健康に良い。後の疲労感も、確かに筋肉は長く走るので疲れますが、心臓にかかる負担は10kmレースを走るよりもマラソンを走った方がまだ楽だと思います。
 ホノルルマラソンを主催しているある医者はこう言っています。「マラソンで3時間台で走るランナーはそれから6年間はまず心臓病で倒れる心配はない」と。
 したがって、心筋硬塞や糖尿病、動脈硬化、高血圧などの予防にもつながってくるということです。
 西ドイツのアーケン博士は「ガンの予防すらできる」と言っています。
 そういうことで高齢者は走ることによって多くのメリットを得ることができます。
2.女性とフルマラソン
 女性がマラソンを始めたのはつい15、6年前のことです。「女性ランナーが男性の中に紛れて走って物議をかもした」ということがボストンマラソンでありました。
 ところが今ではそういうことはないです。しかも現在はまだ女性ランナーの数は少ないですが、将来を予測すれば「男性対女性の比は1:1になるだろう」と言われています。
 それで「女性の方々がこれから思い切って長い距離に挑戦をしていくという時代になっていくだろう」と思います。
 女性の方は男性に比べていくつかのメリットがあります。
 一つは走りやすいのです。力ロリーの消費量が少なくてすむのです。それは男性に比べて体重が少ないからです。
 それから脂肪が男性よりも女性の方が多く、この脂肪がエネルギーとなることを考えれば、当然女性の方が走りやすくなります。
 ただし将来マラソンの記録が男性に追いつくかということはフルマラソンはだめでしょう。しかし、100km以上になると女性の方が強いでしょう。現にロスアンゼルスでおこなわれた100マイルロードレースで女性が優勝したのですから。
 最後は脂肪を使って走るのですから、女性は長い方が有利になります。
それから水分の比率も少ないし、ホルモンを出す副腎皮質も女性は大きいので女性の方が走りやすいのです。
 そしてトレーニングの方も女性だからと言って特別なことはしなくて良いのです。男性と同じことをすれば良いというのが定説になっています。
3.子どもとフルマラソン
 その次は子どもの場合です。
 「はたしてまだ身体が十分出来ていない子どもを長く走らせて良いのだろうか」ということが問題になります。
 西ドイツなどでも討論されており、両方の意見があります。
 一つは「身体の発達にしたがって長い距離を走らせて行くべきだ」という意見です。もう一つは「そうではない長い距離から短い距離を走らせた方が良いのだという意見です。
 それでトータルしてみるとどうも「長い距離を走らせて、身体が出来てから短い距離を走らせる」という方が多かったようです。
 ニューヨークマラソンでもホノルルマラソンでも10才代の記録はあります。ただ走らせるというのではなくて、きちんとした理論の上につくられているのです。
 その1つは「体重が軽い」ということです。
 「エネルギーの消耗率が少なくて良い」ということです。
 マラソンには30〜35kmに壁があります。それは筋肉の中にあるグリコーゲンなどを使い果たしてしまうからです。
 「子どもの場合はカロリーの消費が少なくてすむので、スピードを上げ過ぎなければ30〜35kmの壁は感じないだろう」と言われています。
 昨年ホノルルマラソンを走った当時小学校5年生の吉田さんはそういうわけにはいかず、20〜30kmにかけてスピードアップをしたので35kmあたりになると足が前に出なくなったそうですが、彼女は4時間22分で走ったのです。私は4時間前後で走ると予想していました。
 また、心臓と身体つきの関係からいうと子どもの方が有利です。
 路面から受ける衝撃も小さいので膝や腰を痛める割合も少ないです。身体にふさわしい筋肉がついていれば。
 吉田さんの場合は週2回のランニング、2回の水泳をしています。4回のエアロビクス的な運動をしています。このランニングを週4回にすると4時間を切って走れるようになるだろうと思います。
 思春期前に長距離を走らせ、高校くらいで800mをやったらおそらく持久力はついてくるだろうというわけです。
 ただし、日本の学校のように速く走ることだけに価値があるような走り方をさせたのではだめなのです。子どもは「ゆっくり、長く、楽しく走る」ということで走らせたい。
2ページに続く
目次 1:高齢者とフルマラソン 2:年間プログラム 3:LSD走
4:ペース走 5:タイムトライアル 6:長時間走

編集長メモ
このレポートは、健康体力づくり講座を収録したものです。
 期日:1988(昭63)年3月9日
 主催:金沢中央走ろう会・石川県健民運動推進本部
 場所:石川県体育協会会議室
私の最初のマラソン教材です。
 ランニングを始めた時は、フルマラソンなどは考えもしていませんでした。10〜20kmと距離を伸ばしてくると、42kmが夢ではなくなってくるから不思議です。
 フルマラソンに取り組むためのプログラムを、分かりやすく解説してあります。
 この中で紹介されている本などを参考に、さらに情報を集めてください。
機関誌『走快』8号掲載
編集長のマラソン講座健康ランニング:情報ボックス

Copyright kanazawa-runners.com|kouza 2004-2018